高校生でも起業できる!必要な知識・手続き・成功のヒントを解説

高校生でも、親権者の同意があれば起業して経営者になることが可能です。実際に、高校生が起業して利益を出したり、社会貢献したりしている例が存在します。高校生が起業に挑戦することで、社会経験や実践的なノウハウを得られ、大学入試や就職活動でも有利になる効果が期待できます。

しかし、学業とビジネスの両立は簡単ではありません。また、大人の起業家と同じ土俵で戦わなければならず、誰でも簡単に成功できるわけではありません。

そこで本記事では、高校生が起業するための手続きや準備、成功のポイント、成功例などを解説します。起業して成功するために何をすべきかが理解できるため、ぜひご覧ください。

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高校生でも起業は可能!まずは知っておきたい基本的なこと

高校生も起業することは可能です。高校生が起業する方法には、「個人事業主としての開業」と「法人の設立」が挙げられます。個人事業主として開業するためには、税務署に開業届の提出が必要ですが、年齢の制限は設けられていません。

また、法人設立の規則は会社法で定められていますが、こちらも年齢に関する規定はありません。法人の設立には印鑑証明書の提出が必要ですが、印鑑証明書は基本的に15歳以上であれば発行できます。そのため、高校生であれば成人と同様に起業することが可能です。

ただし、民法の定めにより、未成年者が法律行為を行う際には親権者の同意が必要となります。具体的には、以下のような行為は原則として未成年者が独断で行えません。

  • 法人登記
  • 銀行口座の開設
  • 融資の申し込み
  • 事務所の賃貸借契約の締結
  • 従業員の雇用
  • 仕入れや販売に関する契約

高校生であっても、起業を行うと成人の起業家と同じ世界で戦うことになります。学業とビジネスの両立が求められるため、決して甘くはなく、必ずしも成功できるとは限りません。厳しい世界で戦うという覚悟を持ったうえで、入念な事業計画の作成や事前準備を行うことが重要となります。

高校生が起業するための手続きと準備

高校生が起業するために必要な手続きや準備は、以下のとおりです。以下では、それぞれの手続き・準備を詳しく解説します。

  • 事業内容を明確に決める
  • 保護者や学校に相談する
  • 開業届を提出する
  • 必要な許認可を確認する
  • 資金を調達する
  • 税金や確定申告に備える

事業内容を明確に決める

高校生が起業を目指す際は、まずは事業内容を明確にしましょう。事業内容とは、「どのような価値を提供して利益を得るか」のことです。事業内容が曖昧だと、今後の行動指針が決まらないだけでなく、成功の見込みが薄い事業に時間やお金を費やしてしまうリスクも生じます。

具体的に事業内容が決まらない場合は、以下のような点に着目してみましょう。

  • 自分の得意分野
  • 普段の生活やニュースなどで興味を持った分野
  • 生活するなかで不便に感じたこと
  • 成功している起業家の取り組み

大まかな事業内容が決まったら、事業計画書で戦略や資金計画などを具体的に視覚化し、ブラッシュアップを進めましょう。ビジネスとして取り組むからには、自分のやりたいことだけでなく、「しっかりと利益が出るかどうか」にも着目することが大切です。

保護者や学校に相談する

先述したとおり、高校生が起業するためには保護者の同意が必要です。起業に挑戦したい旨を事前に相談し、同意や応援を得られるようにしましょう。しかし、保護者からの同意を得るには、説得が不可欠です。事業計画や将来のビジョンを説明し、熱意を示すことで納得してもらいやすくなるでしょう。

また、保護者や学校に相談することで、学業とビジネスを両立するためのサポートや意見を得られます。自分にはない社会人視点の意見を得ることで、新たな気づきや事業計画の改善にもつながるはずです。

加えて、学校によっては営利活動が禁止されているケースがあるため、あわせて確認することをおすすめします。

開業届を提出する

住所地を管轄する税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出することで、個人事業主として正式に開業したことになります。厳密には開業日から1ヶ月以内の提出が必要ですが、罰則規定はないため、起業準備を踏まえて都合が良いタイミングで提出しましょう。

起業の種類は大きく「個人事業主としての開業」と「法人の設立」に分けられますが、高校生におすすめなのは個人事業主としての開業です。個人事業主としての開業には公的な費用がかからず、届出書の提出のみで手続きが完了します。個人事業が軌道に乗ったら、その後に法人を設立することも可能です。

一方、法人を設立する場合、20万円以上(株式会社の場合)の公的費用が発生し、定款認証を含む複雑な設立手続きも必要です。

税負担に着目しても、事業規模が小さい段階では個人事業主のほうが有利になる傾向があります。「起業=法人設立」と考える方は少なくありませんが、まずは個人事業主として事業を展開することを検討しましょう。

必要な許認可を確認する

事業で必要な許認可を確認しましょう。許認可とは、特定の事業を営むために必要な手続き(届出/登録/認可/許可/免許)を指します。たとえば、中古品の売買を行う「古物商」を営む場合には、管轄の警察署で古物商許可を取得する手続きが必要です。

他にも、以下のような業種では許認可の取得が求められます。

  • 旅行業
  • 飲食業
  • 宿泊業
  • 人材派遣業
  • 運送業
  • 探偵業
  • クリーニング業

許認可が必要な業種にもかかわらず手続きをせずに事業を営むと、罰則の対象となります。そのため、事業計画を立てる段階で「許認可の取得が必要な業種であるか」を確認してください。

資金を調達する

起業して事業を開始する際には、初期資金や当面の運転資金の調達が必要です。資金調達の金額は、事業計画書を作成する段階で念入りに計算しましょう。資金調達額が不足していると予定通りに事業を運営できず、過剰に多すぎると資金調達の難易度が上がり、リスクも高まる恐れがあります。

また、高校生の起業では、できる限り資金調達額を抑えることが大切です。お小遣いやアルバイト、親からの融資で賄える範囲で事業計画を作成することをおすすめします。他にも、高校生の起業では、以下のような資金調達方法があります。

  • クラウドファンディング
  • ビジネスコンテストの賞金
  • 各自治体の補助金・助成金

税金や確定申告に備える

起業後にビジネスで得た利益は、所得税(または法人税)の課税対象となり、確定申告の義務が発生します。各種税金は、通常1年分をまとめて支払うため、事業運営を行うなかで納税資金を確保することが大切です。

また、確定申告を行うためには、日々の取引を記録し、帳簿を作成する必要があります。事前に基本的な仕訳の方法を理解し、小まめに記帳することを心がけましょう。記帳は手書きでも問題ありませんが、会計ソフトを活用すれば、より簡単に帳簿作成や確定申告が可能です。

なお、発生する税金は、個々の起業形態や事業規模によって異なります。たとえば、個人事業主として起業する場合、以下のような税金の支払いが必要となる可能性があります。

  • 所得税
  • 消費税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 社会保険料(国民健康保険/国民年金)

それぞれ支払い義務が生じる基準が異なるため、事前に基本的な税金の種類を確認しましょう。

高校生が起業で成功するために押さえるべきポイント

高校生が起業で成功するためには、以下のポイントを押さえて準備や事業運営を行いましょう。以下では、それぞれのポイントを詳しく解説します。

  • 学業とビジネスを両立させる
  • リスクを抑えて小さく始める
  • 初期費用をかけずに工夫する
  • 周囲の協力を得る
  • 情報発信を継続する

学業とビジネスを両立させる

高校生が起業を成功させるためには、学業とビジネスを両立させる意識や取り組みが求められます。

高校生の本業は、あくまで学業です。成人した起業家と同じ土俵で戦うためには、当然本気でビジネスに取り組まなくてはいけませんが、学業に支障をきたしたら本末転倒です。成績が低下したら両親からの理解を得られなくなり、大学進学や就職の選択肢も狭まってしまう恐れがあります。

学業とビジネスを両立するためには、明確な目的意識やスケジュール管理が重要です。また、自分を律して友人からの誘いを断る勇気が求められることもあるでしょう。専業でビジネスに取り組む起業家と比べて事業に充てられる時間が少ないため、いかに効率的に時間を使えるかが重要となります。

リスクを抑えて小さく始める

高校生が起業する際には、リスクを抑えて小さく始めることを意識しましょう。当然ですが、起業をした全員が必ず成功できるわけではありません。莫大な資金を投じたにもかかわらず事業で失敗すると、失うものが大きく、周りにも迷惑をかけてしまいます。

このようなリスクを避けるためにも、万が一失敗しても最小限の損失に抑えられる「スモールビジネス」がおすすめです。たとえば、パソコン1台で始められる事業はスモールビジネスの代表格です。

スモールビジネスであれば、事業に失敗しても損失は最小限であり、次のビジネスにも切り替えやすくなります。リスクが大きいビジネスと比べて、両親からの理解も得やすくなるでしょう。事業が軌道に乗った段階で徐々に規模を拡大していけば、リスクを最小限に抑えつつ将来的には大きな利益を目指すこともできます。

初期費用をかけずに工夫する

高校生が起業する際は、できる限り初期費用をかけないように工夫しましょう。初期費用をできる限り抑えることで、起業時のリスクが低下し、小さくビジネスを始められます。

具体的に有効な工夫は、以下のとおりです。

  • 中古の備品を購入する
  • リースを活用する
  • 取り扱う商品を絞る
  • 従業員を雇わず、外注を活用する
  • バーチャルオフィスを活用してオフィス費用を抑える

バーチャルオフィスとは、事業用の住所をレンタルできるサービスを指します。「自宅住所を公開するのは不安」や「信用力の高い住所を公開したい」といった場合は活用を検討しましょう。

周囲の協力を得る

高校生が起業で成功するには、周囲の協力を得ながら事業に取り組むことが大切です。

たとえば、保護者に協力してもらえれば、金銭的なサポートや大人目線での意見、人脈の紹介などを得られる可能性があります。他にも、学校からの理解を得られれば、学校施設やリソースを活用できたり、ビジネス関連のプログラムを紹介してもらえたりするでしょう。

自分一人で事業に取り組むよりも実現性の高い事業計画を立てられ、コスト削減や人脈形成ができる可能性もあります。両親はもちろんですが、周りに頼れる人脈がいないかを確認してみましょう。

情報発信を継続する

ホームページやSNSでの情報発信を継続することも、起業で成功するためのポイントです。継続した情報発信によって、以下のようなメリットを得られます。

  • 自分のビジネスを知ってもらえる機会が増える
  • 顧客と直接コミュニケーションが取れる
  • 人脈を構築できる

特に、高校生の起業は珍しいため話題になりやすく、一気に情報が拡散される可能性があります。知名度が高まり人脈が増えればビジネスの成功につながるので、積極的に活用しましょう。

高校生起業の成功事例と実際に起業した若者たち

実際に、高校生で起業し、成功している事例は多く存在します。ここでは、以下の2つの成功事例を紹介します。

  • 長塚翔吾氏の成功事例
  • 三崎優太氏の成功事例

長塚翔吾氏の成功事例

長塚翔吾氏は、高校3年生のときに「株式会社DogHuggy」を立ち上げました。株式会社DogHuggyでは、愛犬の世話ができない飼い主とホスト(預かる人)をマッチングするWebサービスが提供されています。

「安心・安全を作る」に注力したことが、ビジネスが成功した理由のひとつとして考えられます。電話でのサポートには24時間365日対応しており、毎日写真付きのメッセージをホストから受け取ることが可能です。

また、従来のペットホテルやペットシッターとは異なる新たな選択肢であった点もポイントです。「ホテルではなく家庭的な環境に預けたい」といったニーズを満たせます。さらに、オウンドメディアである「DogHuggy Magazine」の運営により、コストを抑えて認知拡大や集客を図っています。

三崎優太氏の成功事例

三崎優太氏は、インフルエンサーとしても活躍する日本の実業家です。三崎氏のビジネスのルーツは、高校時代に始めたアフィリエイトです。アフィリエイトで月額400万円の売上を達成し、高校卒業後18歳で「株式会社メディアハーツ(現:ファビウス株式会社)」を立ち上げました。現在は、美容業界やバイク事業、不動産事業など、幅広い分野で活躍しています。

アフィリエイトは、パソコンが1台あれば始められるスモールビジネスです。初期費用・運転資金を抑えて運営できるため、高校生の起業にも適しています。初期費用を抑えられ、ビジネスの知識が身につくことは、三崎氏もアフィリエイトの魅力と語っています。

アフィリエイトで費用を抑えつつビジネスの知識を習得し、後々事業規模を拡大した戦略は、高校生の起業において非常に参考になるでしょう。

高校生が起業を目指すうえでの注意点

高校生が起業を目指すうえで、以下のような注意点があります。以下では、それぞれの注意点を詳しく解説します。

  • 学業に支障をきたさないように配慮する
  • 親や学校との関係を悪化させないようにする
  • 法律や規制を確認して順守する
  • 収益や納税の義務を理解する
  • トラブルや詐欺に巻き込まれないように注意する

学業に支障をきたさないように配慮する

先ほども触れたとおり、高校生の起業では学業に支障をきたさないように配慮することが大切です。

高校生の本分は勉強や部活動、進路の決定といった学校生活です。これらを疎かにしてしまうと、進路選択の幅が狭まったり、就職活動がうまくいかなかったりする原因となります。また、両親の理解を得られなくなり、法的行為に同意されなくなる可能性もあるでしょう。

高校生で起業しても、その後は大学進学や一般企業への就職を行うケースは少なくありません。将来の選択肢を狭めず、周りからの理解を得ながらビジネスを営むためにも、高校生の本分を忘れずに行動しましょう。

親や学校との関係を悪化させないようにする

高校生の起業では、親や学校との関係を悪化させないように注意しましょう。

たとえば、親が反対しているなかで無理やり同意を得るようなやり方は避けるべきです。起業が原因で家族との関係が悪化してしまう可能性があります。他にも、学業を疎かにして学校生活に支障をきたすと、学校からの信頼を失い、進路や就職に影響が出てしまう恐れがあります。

高校生の起業では、周りからのサポートが不可欠です。オープンで正直なコミュニケーションや学業とビジネスを両立する工夫を行い、両親や学校と良好な関係を築きましょう。

法律や規制を確認して順守する

ビジネスを展開するうえで関連する法律や規制は必ず確認・順守しましょう。事業内容にもよりますが、起業では以下のようにさまざまな法律を把握しておく必要があります。

  • 民法
  • 特定商取引法(特商法)
  • 著作権法
  • 下請法
  • 労働基準法
  • 会社法

たとえば、他人が作成した画像を無断で使用してしまうと、著作権法違反にあたる恐れがあります。たとえ知らなかったとしても、法律に違反したら罰則の対象となるため要注意です。家族や学校にも大きな迷惑をかけてしまう恐れがあるため、必ず自身の事業計画で関連する法律を確認しましょう。

収益や納税の義務を理解する

先述したとおり、事業で発生した利益は所得税や法人税などの課税対象となります。

納税義務があるにもかかわらず確定申告を行わないと、本来の税金に加えて延滞税や加算税を追加で支払うこととなります。支払うべき税金は事業規模や起業形態によって異なるため、「対象となり得る税金は何か」を事前に確認しましょう。

また、税金が発生するかどうかを適切に判断し、納税資金を残すためには、収益の状況を適切に把握することが大切です。収益の状況がわからないと納税義務があるかどうかを判断できず、納税資金が足りなければ両親に迷惑をかけてしまう恐れもあります。

日々の取引を小まめに記帳し、現在の収益の状況を把握することが大切です。財務状況をしっかりと理解していれば、適切な事業戦略も立てやすくなります。

トラブルや詐欺に巻き込まれないように注意する

ビジネスを展開する際は、トラブルや詐欺に巻き込まれないように注意しましょう。SNSやオフラインでのイベントを通じて他の起業家と交流するなかで、以下のようなトラブルが起こる恐れがあります。

  • マルチ商法の勧誘を受ける
  • 高額な商材を購入させられる
  • 知らぬ間に詐欺に加担させられる

特に、高校生起業家は社会経験が少ないことから、悪意のある者から標的にされやすい可能性があります。

トラブルや詐欺に巻き込まれないためには、与えられた情報を鵜呑みにせず、しっかりと吟味することが大切です。うまい話には裏があると念頭に置き、ときには人を疑うことも求められます。少しでも不安に感じたら、両親や信頼できる大人に相談することも検討しましょう。

まとめ

高校生であっても自ら起業し、事業を運営することは可能です。しかし、未成年が法律行為を行う際には、両親からの同意を得る必要があります。

高校生が起業するうえで、最初に乗り越えるべき課題は、両親から理解を得ることです。入念に事業計画を作成し、熱意を示して両親からの同意を得られるようにしましょう。また、高校生の本分は学業であるため、「いかに学業とビジネスを両立させるか」を意識して起業に挑戦することが大切です。

学業とビジネスの両立は決して簡単ではありませんが、起業を通じて社会経験や実践的なスキル、貴重な人脈を得られます。高校卒業後に大学進学や一般企業への就職を目指す場合でも非常に役立つため、挑戦してみる価値は大いにあるでしょう。

まずは興味や関心から事業内容を決定し、具体的な戦略や方針を事業計画書にまとめることから始めてみてはいかがでしょうか。

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