副業の住所問題を解決!バーチャルオフィス活用術

現在は、働き方改革の推進やIT技術の発展などにより、副業に注目が集まっています。本業とは別の収入を得られ、スキルアップにもつながる副業ですが、問題となるのが対外的に公開する住所です。

自宅住所で副業に取り組むと、プライバシーや安全面のリスクが生じ、対外的な信頼が損なわれる恐れもあります。そこで、自宅で副業に取り組む方には、バーチャルオフィスの活用がおすすめです。バーチャルオフィスを活用すれば、プライバシーや安全面のリスクを抑えつつ、信用力のある一等地の住所で副業に取り組めます。

そこで本記事では、バーチャルオフィスの概要や副業でバーチャルオフィスを利用するメリット・注意点などを解説します。

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副業で「住所問題」が生じる理由

現在はIT技術の発達により、自宅でも始められる副業が多く存在します。しかし、自宅で副業に取り組むと、多くの場合で公開する住所の問題が発生します。たとえば、以下のようなケースでは、対外的に自宅住所の公開が必要です。

  • 特定商取引法の定めに基づいて住所地を公開する(ECショップの運営など)
  • 郵便物のやり取りを行うために自宅住所を伝える
  • 契約書や届出書の作成時に自宅住所を記載する

自宅住所の公開によってプライバシーの問題が発生し、嫌がらせやストーカー被害に巻き込まれるリスクも高まります。

他にも、自宅住所で副業を行うことで、以下のようなデメリットが発生します。

  • 取引先や顧客からの信用が損なわれる可能性がある
  • 自宅物件が商用利用を認めていない可能性がある

結果的に、機会損失や物件オーナーとのトラブルにつながる恐れがあるため要注意です。自宅で副業を行う際は、「対外的に住所の公開は必要か」や「公開する住所をどのようにすべきか」を判断することが求められます。

バーチャルオフィスとは?副業で使える仕組みを解説

バーチャルオフィスとは、対外的に公開する事業用の住所を貸し出すサービスです。バーチャルオフィスの活用によって、自宅住所を公開せずに副業に取り組めるようになります。

ここでは、バーチャルオフィスの基本的な仕組みや主なサービス内容を解説します。

バーチャルオフィスの基本的な仕組み

バーチャルオフィスの基本サービスは、「事業用の住所の貸し出し」です。バーチャルオフィスを契約すると、バーチャルオフィス事業者の住所を以下のように利用できます。

  • 事業所の所在地として名刺やホームページに公開
  • 契約書や届出書に記載
  • 法人の本店所在として登記

バーチャルオフィスはあくまで住所を貸し出すサービスであり、基本的に物理的なオフィス空間は利用できません。その分、一般的な賃貸オフィスや他のオフィスサービスと比べて格安で利用できる点が特徴です。

このような特性から、自宅や格安オフィスに別途執務スペースを持つ方に適したサービスといえます。

主なサービス内容

バーチャルオフィスでは、住所の貸し出しだけでなく、事業に役立つ以下のようなサービスも提供されています。

  • 郵便物転送サービス
  • 電話サービス(転送/秘書代行/電話番号の貸し出し)
  • 貸会議室の提供
  • 法人設立サポート
  • 法人口座の開設サポート
  • 専門家の紹介

たとえば、郵便物の転送サービスを利用すれば、住所を公開せずに、自宅で郵便物を受け取れます。プライバシーを守りつつ、副業を効率的に運営できるでしょう。

ただし、提供されているサービス内容はバーチャルオフィス事業者によって異なります。また、事業者によっては基本料金に含まれず、オプションとして提供されている場合があります。事前に各バーチャルオフィスのサービス内容や料金体系を確認しましょう。

副業でバーチャルオフィスを活用するメリット

副業でバーチャルオフィスを活用することで、以下のようなメリットを得られます。以下では、それぞれのメリットを詳しく解説します。

  • 自宅住所を公開せずに副業できる
  • 都心の一等地住所で信頼感が高まる
  • 郵便物管理や電話代行など便利なサービスが使える
  • 法人化を検討する際にもスムーズに移行できる

自宅住所を公開せずに副業できる

バーチャルオフィスの活用によって、自宅住所を公開せずに副業に取り組めるようになります。

自宅で副業を行うと、郵便物のやり取りやホームページへの掲載、契約書の締結といった場面で、取引先や顧客に自宅住所が伝わります。結果的に、プライバシーのリスクや安全面でのトラブルにつながる恐れがあるため要注意です。

バーチャルオフィスを活用すれば、バーチャルオフィスの住所をホームページや契約書に記載できます。郵便物はバーチャルオフィス宛に発送され、自宅に転送されるため、自宅住所を知られるリスクを最小限に抑えられます。

プライバシーのリスクや安全面でのトラブルを防止したい方にとって、バーチャルオフィスは積極的に検討すべき選択肢でしょう。

都心の一等地住所で信頼感が高まる

バーチャルオフィスの都心一等地の住所で副業に取り組めば、取引先や顧客からの信頼感を高めることができます。

ビジネスにおいて、住所は事業者の印象を決める要素のひとつです。アパートの一室とオフィスビルを比べると、オフィスビルのほうが「本気で事業を営んでいる」という印象を与えられるでしょう。

また、自宅で副業に取り組む場合、住所をストリートビューなどで検索されると、一般的なアパートや一軒家が表示されます。「本当に事業を営んでいるのか」という不信感を与えてしまう恐れがあります。

バーチャルオフィスを活用して取引先や顧客に安心感を与えられれば、取引の成約やリピートにつながる効果が期待できるでしょう。

郵便物管理や電話代行など便利なサービスが使える

バーチャルオフィスでは、郵便物の管理や電話代行、貸会議室の利用など、便利なサービスを利用できます。

たとえば、郵便物の転送サービスを活用すれば、住所の公開を防ぎつつ、自宅で郵便物を受け取ることができます。他に本業がある副業ワーカーは、平日の昼間に郵便物を受け取れるとは限らないため、柔軟に郵便物を受け取れるようになるでしょう。

他にも、電話秘書サービスを活用すれば、電話に出にくい平日の昼間でも、バーチャルオフィスのスタッフが電話対応をしてくれます。事業者に電話をかけても、不在が続くとマイナスイメージを持たれてしまうため、着信が多い事業内容の場合は有効でしょう。

バーチャルオフィスの各種サービスを有効活用すれば、副業をより効率的に運営できるようになります。事業運営で生じる課題を明確にして、各バーチャルオフィスのサービスを比較しましょう。

法人化を検討する際にもスムーズに移行できる

スムーズに法人化できる点もバーチャルオフィスのメリットです。

多くのバーチャルオフィスは法人登記に対応しています。あらかじめバーチャルオフィスを契約しておくことで、名刺やホームページの住所を変えずに法人を設立することが可能です。

また、法人設立サポートや法人口座の開設サポートを提供しているバーチャルオフィスも存在します。公的手続きで苦戦しやすい法人化ですが、これらのサービスを活用すれば円滑に移行できるはずです。

将来的な独立・法人化を検討している場合は、法人登記の可否や登記サポートの有無をあわせて確認しましょう。

バーチャルオフィス利用時の注意点・デメリット

バーチャルオフィスの活用には、以下のような注意点やデメリットがあります。以下では、それぞれの注意点・デメリットを詳しく解説します。

  • 一部の取引先に不審に思われるケースがある
  • 本人確認書類の提出や審査が必要になる
  • 副業規模によっては不要な場合もある

一部の取引先に不審に思われるケースがある

バーチャルオフィスは、未だ認知度が高くないサービスです。取引先や顧客がバーチャルオフィスの仕組みを理解していないと、以下のような場面で不信感を与える可能性があります。

  • 住所をWeb検索したら複数の事業者が表示された
  • 住所に足を運んだら無人のオフィスであった
  • 個人が一等地のオフィスビルを利用していることに違和感を覚えた

取引先が状況を正しく理解できず、事業の実態に不信感を抱く恐れがあります。

バーチャルオフィスを活用する場合、取引先にはあらかじめバーチャルオフィスの住所である旨を説明するのもひとつの手です。「コストカットして安価にサービスを提供している」などと説明すれば、かえって信頼感を得られるでしょう。

また、事業の信頼性が重要視される副業では、レンタルオフィスを含む事業の実態を確認できるオフィス形態を選ぶことも検討しましょう。

本人確認書類の提出や審査が必要になる

バーチャルオフィスの契約時には、本人確認書類の提出や審査が必要になります。

バーチャルオフィスは犯罪収益移転防止法の規制を受ける業種として、厳格な審査が義務づけられています。悪用のリスクがあると判断されると、利用が認められません。

しかし、厳しい審査を実施しているバーチャルオフィスは、信頼性が高い事業者といえます。悪質な事業者を事前に排除しているため、安心してサービスを利用することが可能です。

一方、審査がいい加減だと、契約後にバーチャルオフィスの住所が悪用される恐れがあります。結果的に、同じ住所を公開している自身のビジネスの評判が損なわれるため、注意が必要です。

審査が厳しいといっても、しっかりと事業の実態や身元を示せば、利用が許可されることがほとんどです。契約後の不要なトラブルを避けるためにも、適正な審査を実施しているバーチャルオフィスを選びましょう。

副業規模によっては不要な場合もある

自宅で副業に取り組む場合でも、事業規模や実態によってはバーチャルオフィスが不要な場合もあります。具体的には、以下のようなケースでは、バーチャルオフィスの契約は必要ない可能性が高いでしょう。

  • 月の収益が数千円から一万円程度など、ごく小規模な副業である場合
  • 取引先や顧客に一切住所を公開しない場合

たとえば、クラウドソーシングサービスで仕事を受注する場合や、アフィリエイトなどで収益を得る場合は、住所の公開が不要です。ただし、住所利用だけでなく、郵便物の転送や電話サービスなどに魅力を感じている場合は、利用を検討しても良いでしょう。

「自身の副業では住所の公開は必要か」や「各種サービスを活用すべきか」などを総合的に判断することが大切です。

副業でバーチャルオフィスを使う際によくある疑問(FAQ)

ここでは、副業でバーチャルオフィスを使う際によくある疑問に回答します。

  • 開業届の住所に使っても問題ない?
  • 法人登記に使える?
  • どのくらいの費用がかかる?
  • 会社に副業がバレる心配はある?

開業届の住所に使っても問題ない?

バーチャルオフィスの住所は開業届に記載しても問題ありません。実際、バーチャルオフィスの住所を公開している個人事業主は多く存在します。

ただし、国内に住所を有している場合の納税地は、原則として「住所地」とされています。そのため、バーチャルオフィスの住所は開業届の「納税地」ではなく、「上記以外の住所地・事業所等」欄に記載するのが無難です。事業所を納税地にするのはあくまでも特例扱いであるため、事前に税務署の職員に確認するのが良いでしょう。

参考:個人事業の開業・廃業等届出書
参考:No.2029 確定申告書の提出先(納税地)|国税庁

法人登記に使える?

バーチャルオフィスの住所は、基本的に法人登記の本店所在地としても利用できます。ただし、以下のケースでは法人登記ができないため注意しましょう。

  • 法人登記を許可していないバーチャルオフィスである
  • 同一住所(バーチャルオフィス内)に同一の商号の企業が存在する

「法人登記に対応したバーチャルオフィスであるか」や「同じ商号の企業がバーチャルオフィスを利用していないか」を確認しましょう。同じ商号の企業については、国税庁の「法人番号公表サイト」の住所検索などで確認できます。

また、法人登記は可能でも上位プランへの加入が必要なケースがあります。加えて、バーチャルオフィスでは許認可を取得できない場合も、実質的に法人登記は難しいため注意が必要です。

どのくらいの費用がかかる?

バーチャルオフィスの月額料金は、数百円から一万円超と非常に幅広く存在します。そのなかでも、特に多いのは3,000〜5,000円程度のバーチャルオフィスです。

基本的に、サービス内容が充実しているほど、バーチャルオフィスの月額料金は高額になる傾向があります。一方、サービス内容が必要最小限になるほど、価格帯も安価になっていきます。

バーチャルオフィスを副業で活用する場合、できるだけ費用を抑えられるバーチャルオフィスが理想です。ただし、安さだけに着目して必要なサービスが提供されていなければ本末転倒です。事前に必要なサービスを明確にしたうえで、バーチャルオフィスのサービス内容を確認しましょう。

また、各種サービスが基本プランではなくオプションとして提供されていることがあります。基本料金が安くても、必要なオプションを加えたら想像よりも高額になるケースがあるため、費用総額をシミュレーションしましょう。

バーチャルオフィスの料金について詳しくはこちら▼

会社に副業がバレる心配はある?

以下のような理由から、副業が会社にバレる可能性があります。

  • 住民税が増加していることが会社に知られる
  • 雑談やSNSで副業を行っている旨を話してしまう

副業で得た所得は住民税の課税対象です。副業分の住民税を会社の給与から天引きする設定だと、税額が増えたことで副業がバレる恐れがあります。確定申告の際に、副業分の住民税の納付方法を「普通徴収」として、自分で納付を行うことで会社にバレるリスクを最小限に抑えられます。

また、信頼できる相手だと思っていても、副業に関する話は会社関係者にはしないようにしましょう。噂話が伝わり、最終的に上層部に知られてしまう可能性があります。

なお、バーチャルオフィスを活用すれば、「自宅住所を検索された際に事業内容が表示された」といった理由で会社にバレることを防げます。しかし、会社にバレるリスクを完全に排除はできないため、必ず就業規則で副業が認められているか事前確認しましょう。

まとめ

副業でバーチャルオフィスを活用することで、自宅住所の公開によるプライバシーのリスクを防止できます。さらに、一等地の住所で対外的な信用を高められ、郵便物の転送や電話サービスによって事業を円滑に進められます。

しかし、バーチャルオフィスの仕組みを理解していない方は、不信感を覚える可能性があるため要注意です。また、副業の規模によっては必要ない可能性もあるため、メリット・デメリットを総合的に考慮したうえで契約すべきか判断しましょう。

一言でバーチャルオフィスといってもさまざまな事業者が存在します。まずはバーチャルオフィスに求めるサービスや予算を明確にしてみてはいかがでしょうか。

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